FP(ファイナンシャルプランナー)として脱サラして独立開業したい!という人もいるかと思います。実際に独立系FPもいます。
また主婦や週末起業で副業としてFP開業してみたいという人もいるでしょう。
そこで今回は、FPとして開業することについて解説していきたいと思います。
FPはどんな仕事をするの?
まず、そもそもFPはどんな仕事をしているのでしょうか。
FPとは、一人ひとりの将来の夢や目標に対して、お金の面で様々な悩みをサポートし、その解決策をアドバイスする専門家です。個々人や家族のライフプラン(人生設計)に基づく将来の収支の見通しを立て、最適な資産設計・資金計画を提案、アドバイスを行い、その実行をサポートします。そのため、FPはお金の面から家計の改善を図る「家計のホームドクター®」とも呼ばれています。
FPは職業の名称で誰でも名乗ることができます。ただし、「くらしとお金」に関するアドバイスは多岐にわたるため、FPには年金や保険、資産運用、税制、住宅ローン、相続など、幅広い専門知識が求められます。そこで、「くらしとお金」に関する様々な専門知識を有していることを証明するのがFP資格です。
日本FP協会ホームページより
このようにFPは簡単に言うと、総合的なお金の専門家と言えます。お金に関するアドバイスをし、顧客の悩みを解決したり利益をもたらすコンサルタント業務が主な仕事となります。
FPはこれ!という仕事はなく業務独占資格でもないのでイメージがしにくいかもしれませんが、逆に言えば自由度が高い職業とも言えます。
FPとして独立開業できるものなの?
FPには企業系FPと独立系FPがいます。
企業系FPとは、企業に勤務しながらFP業務を行ったり、FP資格で得た知識を活用することです。
独立系FPとはその名の通りFPとして独立開業したFPです。個人事務所から法人化した事務所などがあります。
実はFPとして独立開業するには特に資格などもいりません。FPと名乗れば、その日からFPとして業務もすることができます。また初期投資も少なくて済むので、飲食業など他の職業からするとFPは独立開業しやすいと言えます。
また売るのは自分の知識や時間なので、何か在庫を抱えることもありませんし、原価などもありません。実際に売り上げが出れば、かなり利益率の良い職業だと思います。
FPとして独立開業するのに必要な準備
それでは実際にFPとして独立開業するには、どんな準備が必要なのでしょうか。
- 資格の取得
- 業務内容の選定
- 事務所の用意
- ホームページの作成
- 電話の用意
- 名刺の作成
資格の取得
上記ではFPとして独立開業するには資格は特に必要ないと述べました。しかし、実際に開業するなら資格は取得したほうが良いと言えます。FPとしての基本的な知識を身に着けることができますし、FPの業務としてどこまでやって良いものなのかなど、職業としてのFPについても学ぶことができます。
FPの資格にはFP技能士検定と民間資格のAFP、CFPがあります。FP技能士検定は3級から1級まであります。民間資格であるAFPとCFPはCFPが上位資格となります。どの程度まで資格を取得すれば良いかが難しいところではありますが、FP技能士検定なら2級までは取得しておきたいところです。資格があることで顧客への安心感にも繋がりますので狙えるならFP技能士検定1級やCFPも取得しておくのが良いでしょう。
業務内容の選定
独立開業するにあたって、何を業務とするかを決めます。
業務内容は自分の得意分野や職歴などの経験、これから需要が見込める業務などから戦略的に決めていきます。
また専門特化するのか、ゼネラリストとして様々な分野を業務とするのかも決めておいた方が良いです。一般的には専門特化した方が集客率も良く、メリットが多いと考えられています。専門特化すると何をしてくれる人なのか明確になるので、需要が高まるからです。例えば、町医者で内科専門の病院と内科だけでなく外科など色々な分野に対応している病院があったとします。自分ならどちらの病院に行くでしょうか。内科専門の病院に行きませんか?内科専門の病院のほうが、専門性が高いので誤診の心配もなく安心感があると思います。これはFPにも言えることです。例えば、保険のことについて相談したい顧客は保険専門のFPと様々な業務を行っているFPがいたらどちらを選択するでしょうか。
専門特化するメリットは他にもあります。専門特化すると学習が楽になることです。FPとして独立開業すると、武器になるのは自分の知識になります。様々なことを学び、専門性も高めていき、最新の情報や法改正の勉強もして常に情報を更新し続けます。もし、色々な業務を行うとなると学ぶ範囲も広くなり量も多くなってしまいます。時間は限られていますので、専門特化した人とそうでない人が学ぶスピードにはどうしても差が出てしまうというわけです。
とはいえ、専門特化することにはリスクも伴います。専門特化した業務に需要がなければ売り上げにはならないですよね。例えば、先程の町医者の話を例にすると、高齢化が進んでいる地域に小児科専門の病院を開業しても需要は見込めないと思います。また、人口が減少している地域などでは専門性の高い町医者よりも、なんでも診てくれるゼネラリストが求められるでしょう。
このように、何を業務とするのか、専門特化するのかしないかは、自分の特性や得意分野、開業したい地域の特徴などを考慮して決めていかなければなりません。
事務所の用意
独立開業するなら事務所を用意しておきましょう。
FP業務は主に相談業務やコンサルタント業務となります。事務所は自分が事務作業する場でもありますが、顧客が相談する場所でもあります。なので事務所には自分の事務作業スペースとは別に面談用のスペースを作っておきましょう。
事務所がなくても、開業することはできますが顧客の信頼度は下がってしまう可能性があります。開業したらホームページを開設したり、名刺を作ったりと宣伝活動もします。そこで事務所がないとなると怪しいFPだなと思われてしまう危険性もあります。
開業資金もないのでいきなり貸事務所を借りるのはちょっと・・・という人は自宅の一室を事務所にしても良いかと思います。とりあえずは事務作業スペースと面談スペースを確保できればOKです。自宅に顧客を招くのは気が進まないという人は自宅に事務所を設置して、面談は外で行う方法もあります。相談者の自宅や会社に出向いても良いですし、ホテルのラウンジなど落ち着いた場所で面談しても良いでしょう。
ホームページの作成
FPとして開業するにあたって重要になってくるのは宣伝です。
宣伝をしなければ顧客はいつまで経っても来ません。その宣伝のひとつがホームページです。最近ではどんな職種でもホームページを持っていることは当たり前なので、名刺と同様、必需品と言えると思います。
ホームページの作成は外注するか自分で作成するかになります。パソコンは苦手だという人は外注してしまっても良いと思います。他にもやることは沢山ありますので苦手なことは他に頼んでやるべきことをやるのも賢い選択です。
興味があるという人は自分で作成しても良いでしょう。自分で作成できれば、更新もすぐに出来ますし費用もかかりません。
電話の用意
事務所にはできれば固定電話をおいておきたいところですが、最近では携帯電話を業務用の連絡手段としている人も多いので、最初はそこまでこだわらなくても良いかと思います。業務用の連絡手段として携帯電話だけの用意でも良いでしょう。
但し、携帯電話だけで開業するという人はプライベート用と業務用を分けて用意することをおすすめします。そのほうが経費の管理も楽ですし、顧客への対応もしやすいです。
名刺の作成
続いて、名刺の作成です。
名刺もビジネスにおいては必需品です。顧客にはもちろんのこと、開業すれば様々な人と名刺交換する機会が増えますので、名刺は必ず用意しましょう。
名刺については特にこだわりがなければ、最低でも以下の内容を記載しておいてください。
- 事務所名
- 名前
- ふりがな(ローマ字でもOK)
- 事務所住所
- 電話番号
- メールアドレス
- ホームページURL
- 写真
- 業務内容
名刺はネット注文でも作成することができます。ネットから文章を入れてみたり配置や色、文字の大きさなど色々と調整できるものもあるので、色々と試してみてください。名刺はこだわると本当に夢中になってしまいますので、ほどほどに。
他にも用意しておくべきものはありますが、とりあえずは最低でもこれだけの準備はしておきたいところです。あとは実際に開業して必要なものを揃えていけば良いでしょう。
FPとして独立開業する際の資金はいくら?
FPとして独立開業する際にはいくら費用がかかるのでしょうか。
パソコン | 200,000円 |
プリンター | 40,000円 |
事務所費用 | - |
資格取得費用 | 6,000円 |
名刺作成代 | 1,000円 |
ホームページ作成代 | 100,000円 |
電話・インターネット契約 | 10,000円 |
【パソコン】
顧客への資料を作成したり、メールでやり取りをしたり、顧客に資料を見せる時に活用したりとパソコンは開業する際には必需品となるでしょう。
デスクトップパソコンを事務所に置いて、ノートパソコンを持ち歩くというのでも良いですが、最初はノートパソコン1台で十分かと思います。
【プリンター】
プリンターは必需品とまでは言えませんが、念の為、用意しておいたほうが良いでしょう。用意する場合も家庭用のもので十分です。
【事務所費用】
事務所を借りる場合は敷金や礼金など初期費用がかかってきます。また立地や事務所の規模などでも費用が異なってきます。
資金に余裕がない場合は自宅の一室を事務所にしても問題はないです。
【資格取得費用】
FP資格は技能士検定3級であれば受検料として6,000円が必要になります。その他にテキストや問題集の購入費用を算出しても10,000円ほどです。
さらに2級や1級を受検する場合や、AFP・CFPなどを取得するなら、また費用がかかってきます。
【名刺作成代】
名刺作成代は安ければ500円ほどで100枚くらい作れちゃいます。
まずは200枚ほど作成して、次回印刷する時に改善点などを修正するのが良いです。
【ホームページ作成代】
ホームページ作成をしてくれる業者は様々あります。
安くて100,000円くらい、平均は200,000万円ほどでしょうか。自分で作成するならサーバー代やドメイン代だけで済みます。
【電話・インターネット契約】
電話は固定電話と携帯電話(スマホ)が理想ですが、最初は携帯電話だけでも良いかと思います。
また事務所で作業するためにインターネット契約も必要です。自宅を事務所にするなら自宅で使っている回線で大丈夫です。
この他にも当面の生活費や運転資金なども必要になってきます。
脱サラしてFPを開業したい場合
脱サラしてFPを開業したいという人もいるかと思います。
FPとして開業すれば今よりも収入が増える可能性もあります。しかし減る可能性ももちろんあります。
独り身であればさほど心配はないかと思いますが家族がいる場合はいきなり収入が減っては生活できないという人もいるでしょう。
そこで脱サラしてFPを開業したいという人はまずは週末起業や副業としてFPを開業することをおすすめします。今の生活よりも大変にはなりますが、リスクは抑えられます。
週末起業や副業としてFPを開業して軌道に乗ったら脱サラしてFP業務一本に絞るのが得策です。
週末起業や副業としてFPを開業するには
続いて、週末起業や副業としてFPを開業することについて解説していきます。
上記のようにいきなり脱サラして開業するのに躊躇する場合はFPを週末起業してみるのもひとつの手です。徐々に顧客を増やしていき、FPとしての収入が増えてきたら週末起業を卒業してFP業務一本に絞ります。
但し、週末起業にはデメリットもあります。それは顧客の対応に制限がかかってしまうことです。職種にもよりますが、平日の昼間は本業があるので顧客の対応は難しいでしょう。いきなり電話がかかってきても対応できない場合もありますし、今から会いたいと言われても難しい可能性が高いです。
そうなると顧客を取りこぼしてしまうことになります。
しかし最近では副業を認めている企業もあります。副業を認めてくれる会社であればそういったデメリットも解消されるかもしれません。
主婦がFPを開業するには
続いて、主婦が開業したい場合や副業として開業する場合について見ていきましょう。
子育ても少し落ち着いて時間も取れるようになっても復職がなかなか難しいという人もいるかと思います。でも勤務してフルタイムは難しいけど、空いている時間で収入を得られれば家計も助かりますよね。
そこで主婦がFPとして開業するという方法もあります。主婦の場合、上記のように勤務している人がFPを開業するよりは平日の昼間も時間が取れることがメリットです。
子どもの成長と共に、徐々に手間もかからなくなっていきます。それに合わせて自分のFPとしての能力も高めていき、収入も上げていき、機を見て専業となるという選択肢もあります。
但し、主婦が片手間でFPをしていると思われないような配慮は必要になってくるでしょう。
FPとして独立開業するために必要な能力
それでは最後にFPとして独立開業して成功するために必要だと思われる能力について見ていきましょう。
- コミュニケーション能力
- 共感力
- 問題解決能力
- ネットワーク形成力
- 営業力
- マネタイズ能力
【コミュニケーション能力】
FPの主力業務は相談業務です。相談を受けるには相手の話を聴き、どこが問題で何を解決すれば良いのかを分析して、それを相手にわかりやすく的確に伝える必要があります。そのためコミュニケーション能力は必須と言えます。
また、FPとして独立開業するなら営業力も必要です。営業の方法は様々ありますが、古典的な飛び込み営業などもありますし、様々な団体に所属する方法もありますし、パーティーなど人と接する場面での営業もあります。そういった場面でもコミュニケーション能力は必要となってくるでしょう。
【共感力】
上記の内容とも関係しますが、FPの業務は相談業務がメインです。
顧客の立場に立ち、顧客が何を求め、何を解決したがっているのかを感じ取り対応していかなければなりません。
しかし、顧客が解決したがっていることだけに対応している段階ではまだまだです。顧客が気づいていなかった問題点や改善点を指摘し、対応することで顧客の満足度は一気に上がります。それが評判を呼び、さらに集客へと繋がります。なので、顧客の期待を上回るということが大事になってきます。
そのためには相手の立場に立って、相手の悩みに共感し、自分だったらこうして欲しいということを顧客にしてあげることが必要です。
【問題解決能力】
こちらも上記に関係してきますが、FPに相談して良かったと思われるには問題を解決してあげなければなりません。
ただ話を聴くのが上手かったり、コミュニケーション能力が高いだけでは顧客の問題点を改善することはできません。自分が持っている知識を活用することはもちろんのこと、時にはネットワークを使い、自分以外の専門家と共同で解決にあたっていくことも必要です。
そのためには既存の手法にとらわれず、何が最適かを考えて実行する能力が必要です。
【ネットワーク形成力】
上記でも少し触れましたが、FPは業務独占資格ではありません(資格がなくても業務はできますが)。
そのため、FPだけでは解決できない問題も出てきます。そんな時は弁護士や司法書士、税理士などの士業、保険外交員、不動産関係者、金融機関など様々な分野のプロフェッショナルと共同で対応していくこともあります。
そういった専門家とネットワークを形成しておき、いざとなったら依頼できるような関係を作っておく必要があります。
【営業力】
もしかしたら、これが一番大事かもと思うのが営業力です。
FPとして独立開業しても、何もしなければ顧客はやってきません。自分から宣伝し、集客していかなければ依頼どころか電話も鳴らないでしょう。
開業しても最初はなかなか辛い時期が続くと思います。前職の顧客がそのまま顧客になってくれるとかでない限り、開業していきなりバンバンと依頼が来ることはまずないです。
どんなにFPとして優秀でも顧客が来なければ、その力を発揮することはできません。従って、開業したらまずは営業をしなければなりません。その方法はいくらでもあるので、営業についての本を何冊か読んでみて、これは!と思えるものを実践してみましょう。上手くいかなかったら、また別の方法を試してみます。よほどの戦略家でない限り、こうして地道にやっていくしかないです。
【マネタイズ能力】
マネタイズとはIT用語なのですが、無料サービスから収益化させることを言います。例えば、スマホゲームとかですね。ゲーム自体は無料でできますが、アイテムが課金制だったりという感じです。
FPにもこのマネタイズ能力が必要になります。FPの本場であるアメリカではコンサルティングに対して料金を支払うことに抵抗はないのですが、日本ではまだまだそこまでいっていません。相談した時間に対して対価を支払うということの文化が根付いていないのです。そのため、相談は無料と考えている人も多いのが事実です。
しかし相談料を無料にするとなると何から収益を上げればいいのという話になってしまうので、何か他に無料サービスを提供して、そこからマネタイズすることが必要になってきます。
また売り上げを相談料だけにするのではなく、他でも売り上げを出せるようなシステムを構築する必要もあるでしょう。
まとめ
さて、いかがでしたか?
今回はFPとして独立開業することについて解説させていただきました。
ここで紹介した方法などはあくまでオーソドックスな開業方法です。これからの時代、顧客のニーズや対応の方法も変わってくるでしょう。
固定概念にとらわれず、柔軟は発想で新しいことをしてみるのも面白いと思います。大事なのは自分にしかできないことを見つけることで、それによって他のFPと差別化することができます(これが難しいのですが・・・)。
以上、「FPで独立開業するには?主婦や副業でもできる?」でした。
最後まで、お読みいただきありがとうございます!
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